夢の国

ちんまん家では夏と冬に温泉へ行くのが定番となっております。夏はキャンプと温泉、冬は温泉と温泉。二泊するのがお決まりのパターンなんですが、ちょっと今年はそのパターンが崩れまして、理由は長女が「ディズニー行ったことないのクラスで私だけだ、どうしてうちは貧乏なんだ」と痛いとこを突いてくるので、「ハイハイハイハイわかりましたよ」とよゐこの如く了承して夢の国へと旅立ったのでした。

「土日のディズニーは大混乱で、入場するのも大行列。できるなら土日は避けたほうがいい」なんてネットの皆さんは言っていましたし、ツイッターで見た舞浜駅の様子は人人人で波打ってました。こりゃ大変なことになるぞと舞浜駅に降り立ったのは1月6日(土)。百聞は一見に如かず、事実は小説より奇なり、後悔とチンチンは前に立たない、とはよく言ったもので、実際はそんなに混んではおらず、近所のヤクザがやってる神社で小和田アキ子が「あの鐘を鳴らすのはあなた」の替え歌を歌っていたときのほうが混雑していました。

入場するとそこは夢の国。子供達も奥さんも良い顔をしています。すれ違う中国人の「トゥーシューグァン、トゥーシューグァン」に懐かしさを憶えつつ歩いていると、通路にシートを敷いて座る人がいます。これは何かと奥さんに尋ねたら、定期的にパレードが行われると。ファンはお正月バージョンのパレードを見るためにスタンバイしているんだと。熱狂的な人はどんなジャンルにもいるんだなぁと思いましたし、東京駅でも、ちょうどやってきた新幹線がディズニー仕様で、夢中になって撮影しまくる還暦近いおっさんを見たときは、驚いたのと少しの虚無感を感じたのは嘘ではありません。会社に集荷にくるヤマトの加藤さんは物静かで丁寧で凄く良い人なんですが、そんな加藤さんは土日はベガルタ仙台の試合でフーリガンと化し、負け試合の度に選手が乗ったバスを取り囲んで謝罪を要求していると聞いたときと同じ感覚に襲われました。

いざ昼間のパレードが始まり、お正月の格好をしたミッキー達がやってきました。今まで気だるそうにスマホを見ていたアラサー女子達が一心不乱にミッキーに手を振る様子を見て、本当にディズニーの戦略は凄いなぁと感じましたし、ミッキー達が通り過ぎた後に能面のような顔に戻るアラサー女子にも少しの恐怖を感じました。

ホテルに戻り、1日の疲れをビールで誤魔化しているときに奥さんが言った「また来年も行きたいねぇ」には、ディズニーへの敗北感、通帳の残高を思い浮かべての恐怖感、中年化による残尿感、全てを抱いてお父さんはキングサイズのベッドの端っこで枕を抱いて寝たのでした。

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この記事を書いた人

東北の某都市の零細企業で働く窓際びんびんサラリーマン。
幼少の頃から霊感の強い母方実家の人間や幽霊屋敷に住む友人などに囲まれて過ごすが、本人に霊感なし。
代表作「ボウィンマンの一言物申す」

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