甥っ子へ

「昨日こんなことありました」「先週こんなことありました」、そういったエピソードが一つでもあれば披露できるんですが、残念なことに家と会社の往復ですから、そういったパリピな話は一切ありません。そんなときに教訓めいた話をしてしまうのは歳を取った証拠なんですが、許してください、もう40です。甥っ子に子供ができたので大叔父さんです。ありえないですよね、兄貴が祖父なんて。江戸の濡学者 大潮平八郎が紅音ほたるに対して「それはオシッコです」と言うくらいありえない話です。

さてどんな教訓かと申しますと、これは家庭を持った甥っ子に真剣に伝えたいのですが、「行いは返ってくる」ということです。今までは自分の行動にだけ責任を持てばよかったのですが、これからは家族のことも考えて生きていかなければなりません。家族の行いは自分に返ってきますし、自分の行いは家族に返ってくるようになりました。良いことも悪いことも。

一つ例をあげますが、前の職場に僕の新人時代のトレーナーで門脇さんという方がいました。渋谷系のイケメンで、園芸のミカちゃんがトイレに入ったのを見て、顔を洗う仕草をしてエアおしっこ洗顔をやっていたのが昨日のことのように思い出せるのですが、そんな門脇さんから教わった「行い」の話があります。

門脇さんは車で友達数人と出かけていました。後部座席に乗った門脇さんの手にはビデオテープがあります。それはみんなで回して楽しんだ「大江戸レイプマン」という作品でした。それを門脇さんは社内から外の田んぼに投げ捨てようとしたんですね。しかし窓枠に当たって跳ね返り、大江戸レイプマンは門脇さんの額に当たったのでした。このエピソードを額を擦りながら話してくれたんですが、まさにそうなんです。悪いことは返ってくるんです。その後、ビデオテープをゴミ捨て場に捨てても翌朝には枕元に大江戸レイプマン。コンビニのゴミ箱に捨てても翌朝には枕元に大江戸レイプマン。門脇さんは大江戸レイプマンを大事そうに抱きかかえながら僕に嬉しそうに話してくれました。捨てれば返ってくるし、大事にすれば大江戸レイプマンの愛情が返ってくる。

その結果、門脇さんは壊れてしまったんですが、深夜に店の駐車場でコンクリの地面に看板を立てようと只野さんがドリルで穴を開ける際に、細かい石がこちらに飛んできましたが、それに対して地面に寝転んでタルカスから放たれた弾丸のような岩石を足の裏で受けて最小限のダメージで回避したツェペリさんのモノマネをして僕を爆笑させてくれた門脇さんの勇姿を、僕は一生忘れることはないでしょう。

甥っ子へ、家族を大切にね。

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この記事を書いた人

東北の某都市の零細企業で働く窓際びんびんサラリーマン。
幼少の頃から霊感の強い母方実家の人間や幽霊屋敷に住む友人などに囲まれて過ごすが、本人に霊感なし。
代表作「ボウィンマンの一言物申す」

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